今一度考えたい事故のこと
少し前になりますが、2020年10月に、日本中が注目する公判が、東京地方裁判所にて行われました。2019年4月、池袋駅前で高齢者の運転する自動車が暴走して2名が死亡、9名が重軽傷を負う交通事故が起きたことを覚えておられる方も多いことでしょう。「高齢者にハンドルを握らせてはいけない」「年齢にかかわらず危ない運転をする人に、運転免許を与えてはだめ」という意見が多くなるのも、わかるような気がします。
手軽だけど注意が必要な自転車
私個人としても、安全に運転が出来ないのであれば、車のハンドルを握るべきではないと思っていますが、交通事故のリスクがあるのは、自動車に限った話ではないのです。高齢者の中には「そろそろ車の運転はやめよう」と、運転免許を返納する人が増えていますが、そういった方が今度は自転車を使うといったケースは、珍しくありません。さらに都市部では、車よりも自転車の方が使い勝手が良い、ということも珍しくないので、大人も子どももそれなりのスピードを出しながら自転車に乗っています。今回は手軽で便利なんだけど注意が必要な自転車について、行政書士としてお話ししていきたいと思います。
自転車事故を甘く見てはいけない
実は自転車による事故でも裁判は起きています。2018年6月には大阪市北区で「ウーバーイーツ」の配達員が、60代の女性に追突してケガをするという事故が起きており、ウーバーイーツ側の対応にも問題があるとして、一時話題になりました。この事故の場合、被害者は軽傷で済んだものの、打ちどころが悪ければ死んでしまう場合もあり、実際に年間450人以上の方が自転車事故で命を落としているのです。
自転車を安全に使うために
自転車を安全に利用するためには、以下の原則を守る必要があります。
①原則として車道を走行する
②車道の左側を走行する
③歩道は歩行者優先、車道側を徐行する
④安全ルールを守り、飲酒運転や二人乗り、逆走はしない。夜間はライトをつける。
⑤子どもはヘルメットを着用する(大人もあった方が良いかもです)
ざっと挙げてみましたが、守っていない自転車が多いと感じたことはありませんか?私自身、高校時代に自転車通学をしていましたが、平気で歩道を走っていたことも多かったと記憶しています。
死亡事故も起きていることを忘れないで
正直な話、もし自転車とぶつかっても自動車とぶつかるよりは軽い事故で済む、と考えている人も少なくないのですが、少し前に書いたように「自転車事故の死亡者は年間450人以上」いらっしゃるわけで、単純に計算すれば少なくとも1日に1人は自転車による事故でなくなっているのです。そう考えてみると、「自転車の事故は軽い」なんて言えないですね。
もしお亡くなりにならなかったとしても、障害や後遺症が残ってしまう人もいるのです。
可能な限りリスクは少なく
それでも「自転車は危ないから乗らないしよう」というのは、実際問題難しいと思います。自転車を「安全に」運転することや、万が一の事故の時に備えておくなら、事故のリスクを減らすことが出来るでしょう。
最近では、月々数百円の負担で利用できる自転車保険も増えていますので、自転車を使う場合にはぜひ入っておきたいですね。自転車保険にも色々なプランがあり、弁護士特約が付いているものまであります。ここまでくると、自動車用の保険と同じくらいの手厚さを感じますが、万が一の事故に数百円〜数千円で備えることが出来るのです。
そして、子どもや高齢者がいる場合には特に、安全に自転車の運転が出来ているか、注意が必要です。なぜなら万が一事故に遭った時に、重症になりやすいのは子どもやお年寄りだからです。
今こそ考えよう自転車の安全対策
私たちは誰しも、加害者にも被害者にもなりたくありません。今まで自転車は比較的安全な乗り物とされていましたが、この機会に「より安全に自転車を利用するにはどうするか」考えてみたいものです。本日もお読みいただき、ありがとうございました。