シリーズでご紹介してきました「バイク事故と慰謝料相場」ですが、この記事が最後になります。
最終回の今回は、後遺障害慰謝料と死亡慰謝料の計算方法と相場について見ていきたいと思います。
後遺障害慰謝料の計算方法と相場
後遺障害慰謝料は、自賠責保険会社から認定された14段階の等級によって相場が決まっています。
各等級の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。
等級 |
自賠責保険基準 |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準 |
第1級 |
1100万円 |
1600万円 |
2800万円 |
第2級 |
958万円 |
1300万円 |
2370万円 |
第3級 |
829万円 |
1100万円 |
1990万円 |
第4級 |
712万円 |
900万円 |
1670万円 |
第5級 |
599万円 |
750万円 |
1400万円 |
第6級 |
498万円 |
600万円 |
1180万円 |
第7級 |
409万円 |
500万円 |
1000万円 |
第8級 |
324万円 |
400万円 |
830万円 |
第9級 |
255万円 |
300万円 |
690万円 |
第10級 |
187万円 |
200万円 |
550万円 |
第11級 |
135万円 |
150万円 |
420万円 |
第12級 |
93万円 |
100万円 |
290万円 |
第13級 |
57万円 |
60万円 |
180万円 |
第14級 |
32万円 |
40万円 |
110万円 |
死亡慰謝料の計算方法と相場
死亡慰謝料は、死亡した被害者の家族構成や収入によって相場が決まっています。
死亡慰謝料の相場は以下のとおりです。
自賠責保険基準の死亡慰謝料相場
請求する要項 |
慰謝料額 |
死者本人に対する慰謝料 |
350万円 |
死者に扶養されていた場合 |
200万円 |
慰謝料を請求する遺族が1人の場合 |
550万円 |
慰謝料を請求する遺族が2人の場合 |
650万円 |
慰謝料を請求する遺族が3人の場合 |
750万円 |
遺族が死亡者に扶養されていた場合について説明します。
この場合には、200万円が加算されます。
たとえば交通事故で被害者が亡くなって、その被害者に扶養されている遺族が1人の場合は、
死亡者に対する慰謝料:350万円
死亡者に扶養されていた遺族がいる:200万円
遺族は1人:550万円
これら全部を合計した額が死亡慰謝料となるため、死亡慰謝料は1,100万円というふうに計算されます。
任意保険基準及び弁護士基準の死亡慰謝料の相場
死亡者の立場 |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準 |
一家の支柱 |
1500~2000万円 |
2800万円 |
配偶者、母親 |
1500~2000万円 |
2500万円 |
上記以外 |
120~1500万円 |
2000~2500万円 |
自賠責保険基準では、被害者の遺族の人数と扶養者の有無によって金額が増えていくというものでした。
したがって、増えた分は遺族固有の慰謝料とも言われ、被害者自身の死亡慰謝料とは区別して考えることもできます。
このような考え方に対して、弁護士基準では死亡慰謝料は算定する時点で、被害者の社会的地位を考慮にいれて算定しています。
したがって、弁護士基準の死亡慰謝料には、自賠責基準の遺族固有の慰謝料が既に算入されていると言えます。
バイク事故の慰謝料を増額させる方法
それでは、ここからはバイク事故で被害者が受け取れる慰謝料を増額する方法について具体的に解説していきます。
弁護士基準で請求す
上記で見てきたとおり、入通院慰謝料および後遺症慰謝料等については、3つの基準のうち弁護士基準が最も高額な基準となります。
したがって、弁護士基準を用いて慰謝料を算出することが、被害者の方の受け取れる慰謝料を増額するためには重要なポイントとなります。
では、弁護士基準で慰謝料を算出するためには、被害者はどうすればいいのでしょうか。
弁護士に依頼する
これまでお伝えしてきたように、弁護士基準は裁判手続で利用される基準になります。
そこで、被害者の方の中には、訴訟を提起しないといけないのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、弁護士が交通事故事件を受任した場合には、弁護士基準を用いて慰謝料を請求していきますので、被害者の方が最も簡単に弁護士基準で慰謝料を算定するには、弁護士に依頼すればいいだけです。
慰謝料だけでなく示談金も漏れなく請求する
バイク事故の被害者が、損害賠償を請求できる項目は慰謝料だけではありません。
したがって、慰謝料以外の費目についても忘れることなく、しっかりと加害者に請求していく必要があります。
慰謝料以外に、交通事故の被害者が請求できる費目を以下に詳述していきます。
(1)治療費・通院交通費
(2)休業損害
(3)逸失利益
(4)葬儀費
(5)車の修理や買換え費用・代車の費用
(6)評価損
(2)休業損害とは、交通事故に遭ったことで、仕事ができなくなり、得られるはずだったのに得られなくなった収入のことを言います。
休業損害は、休業日数分の日額で受け取れます。
この日額も、弁護士基準で算定する方が高額になる場合があります。
(3)逸失利益とは、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類に分けられます。
前者は、後遺障害が残った場合の逸失利益で、後者は、死亡時に認められる逸失利益です。
逸失利益については、慰謝料や休業損害のように算定基準ごとの違いはなく、一定の計算式によって算出されます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、バイク事故で負傷・死亡した場合に受け取ることができる慰謝料について解説しました。
結論として、弁護士に依頼した場合に慰謝料が増額する可能性が高いことを説明しました。
慰謝料を含む損害賠償の計算については専門的な知識も必要になりますので、適正な示談金を請求出来ているのかどうか不安になることもあるでしょう。
交通事故に遭って一人で悩んでいる被害者の方は是非一度弁護士に相談するべきでしょう。
4回にわけてバイク事故と慰謝料相場について解説をしてきましたが、この記事が最後となりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。