任意保険に加入している人のうち、およそ7割の人が「弁護士費用特約」に加入しており、そのうち実際にこの弁護士費用特約を使う人は1%未満ともいわれています。
利用率が低いのは何故なのでしょうか?
「弁護士に頼むなんてなんだか気が引けるし大ごとにしたくない。」
「小さな事故だから使えないのでは?」
「特約使ったら、翌年の保険料とか上がるんじゃないかと心配・・・。」
「付帯されていることすら知らなかった!」 など
さまざまな理由から利用していないことが考えられます。
これを機に、疑問を少しでも解消して有効利用できるように(損をしないために)お役に立てれば幸いです。
弁護士費用特約にデメリットはあるか
メリットが多く感じられる「弁護士費用特約」ですが、裏側に存在するデメリットについてもしっかりと確認しておきましょう。
メリットが多く、補償範囲や対象も広いので心配なのはやはり「費用面」ではないでしょうか。
費用面に関しては後述します。
また、ご心配されることの多い以下の2点についてみていきましょう。
・弁護士費用特約を使っても「翌年の保険料」は上がりません。
・弁護士費用特約を使っても「保険等級」は下がりません。
交通事故に遭い、保険を使うことにより保険等級は下がることは否定できませんが、弁護士費用特約を使ったからといって保険等級が下がることはありません。
全くの別物なのです。
弁護士費用特約を使うべきメリット3選
これまでもみてきたとおり、弁護士費用特約は非常にメリットの大きい特約であるということがお分かりいただけたかと思います。
ですが、お伝えしたいメリットはまだあるのです。
一つずつみていきましょう。
(1)慰謝料が大幅に増額する
示談交渉は綺麗事だけでは済まされません。
被害者の人生を大きく左右してしまいます。
死に至ることも決して珍しくはありません。
そのようなときに問題となるのは「示談金」です。
いわゆる損害賠償請求や慰謝料について交渉をしていくことになりますが、被害者自身はお怪我を負った状態で進めていかなければなりません。
精神的にも肉体的にもダメージを負った状態で正しい判断ができることは期待できませんし、あまりに酷な作業となります。
また、事故後しばらくすると相手方の保険会社から示談に関して連絡が入ります。
しかし、内容や金額について「妥当性」を判断せずに直ぐに示談に合意するべきではありません。
保険会社の提示してくる金額は「正当な金額」とはいえないからです。
ですが、弁護士に依頼することで、保険会社が提示してきた金額の2~3倍程度「慰謝料」をアップさせることが可能となります。
弁護士に依頼するとなぜ慰謝料がアップするの?
慰謝料の算出には3つの基準があります。
弁護士に依頼すると下記のような「弁護士基準」を使い算出するので慰謝料アップが可能となります。
自賠責保険基準 (もっとも低い基準) |
最低限の補償が目的とされている。 車両所有者全員に加入が強制されている保険のこと。 |
---|---|
任意保険基準 (自賠責保険基準に少し加算した程度) |
保険会社が、各社独自の基準を定めているため金額が異なる。 その算出基準は非公開とされている。 |
弁護士基準(裁判基準) (もっとも高い基準) |
過去の裁判例をもとに裁判所や弁護士が使う基準。 |
(check!)
当事者同士で示談交渉が決裂すれば、最終的には裁判所に判断を委ねることになります。
すなわち、過去の裁判例が集積されてデータを元にして算出する弁護士基準(裁判基準)は「正当な金額」であるといえます。
(参考)むち打ちで3ヶ月通院したケースの比較
通院期間 | 自賠責保険 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
3か月 | 25.8万円 | 37.8万円ほど | 53万円 |
(2)事故のケースに応じた良い方法で解決する
交通事故の解決方法のアプローチは1つではありません。
同じ交通事故は2つと無いように、過失割合や怪我の程度、治療期間、後遺障害の有無など個々のケースで異なります。
「どのような方法でどのタイミングで何をするべきか?」
「相手方から提示された示談内容が正当なものなのかどうか?」
被害者の肉体的・精神的、場合によっては経済的なご不安に寄り添いながら適切なサポートを受けることが可能となります。
(3)事故後の示談交渉や手続きを任せることができる
交通事故の示談交渉全般に言えることですが、難しい専門用語なども多く困惑される方が少なくありません。
特に、後遺症が残るほどのお怪我を負われた際は「後遺障害等級認定」の手続きを進めるべきですが、この手続きはとても煩雑です。
「認定」を受けることが出来れば「後遺障害慰謝料」をもらうことができます。
これらの煩雑な手続きをスムーズかつ適切に進めていくには弁護士のサポートが功を奏します。
相手方が、厄介な人物である場合や加害者とは連絡すら取りたく無い場合などは、弁護士に一任することで精神的なストレスから解放されるというメリットがあります。
弁護士特約の使用手順と注意点について
続いて、気になる「利用手順」についてみていきましょう。
敷居が高く敬遠されがちな弁護士への依頼ですが、あまり硬く考えなくても大丈夫ですのでご安心ください。
(step1)ご自身の加入している保険に「弁護士費用特約」がついているか確認する。
(step2)ご自身の加入している保険会社に「弁護士費用特約」を利用したい旨を伝える。
(step3)弁護士を探して相談・依頼する「弁護士費用特約」を利用する旨を伝える)
※ご自分で選ぶことができます。
弁護士には、医師と同じように“得意分野”があります。
とりわけ交通事故分野は経験や知識が必要となり、有利な結果を引き出しやすいといえます。
そのため、インターネットで『交通事故 弁護士』『交通事故 後遺障害 弁護士』などと検索してみてください。
よく話を聞いてくれて、難しい専門用語ばかり使わず、分かりやすい説明やアドバイスをしてくれる弁護士であれば安心して任せられるといえるでしょう。
任意保険に弁護士費用特約を付帯させる費用はどのくらい?
最後に、気になる「費用」についてみていきましょう。
年間1,000円~2,000円ほどです。
加入している任意保険会社により料金は異なりますが、一般的には上記の金額となります。
単体で契約できるわけではなく、任意保険に“付帯するもの”ということをおさえておきましょう。
自動車保険の契約時に「弁護士費用特約」をつけていなくても、多くの保険会社では途中から追加することができます。
年間数千円で得られるメリットが多く、デメリットといって特筆するべきものもありません。
ご自身や家族のお守り代わりに追加契約のご検討をされてみてはいかがでしょうか。
事故に遭ってからでは遅いので、早めにご対応されることをおすすめします。