弁護士or行政書士、どちらのお仕事?
「交通事故は行政書士の仕事でしょう?」と聞かれる方も多いのですが、まず交通事故に関しては行政書士と弁護士では扱う分野が違うことを覚えておきましょう。
どちらに相談すればよいのかわからず「ひとまずホームページで見つけたところ」や「近所の事務所」に相談をされる方も多いと思いますが、「自分が何をしてほしいのか」を正直に話をして打ち合わせておくことをお勧めします。
ちなみに「行政書士に相談したら、これは弁護士の仕事だと言われてしまった」という話を耳にしますが、これは意地悪をしているわけではなく、弁護士の仕事と法律で線引きがされているので、早めに弁護士を探してください。
最初に相談した行政書士に弁護士を紹介してもらえるか尋ねることはできますし、多くの市区町村では弁護士による初回無料相談が出来るようになっていますので、それらを利用することもできるでしょう。
交通事故専門の行政書士と依頼するメリット
交通事故の場合、自賠責保険に対する被害者請求に関しては行政書士の業務であり、交通事故を専門としている事務所であれば、書類作成のサポートにとどまることはなく、現在のケガの状態に関するヒアリングに加えて今後の治療の状況を予測した上でのアドバイスをしてもらえます。
必要な資料等があれば、後遺症害に該当する可能性があるか、とそれにより賠償金がどのくらいになるかも予測しやすくなり、それに基づいた説明をしてもらえるので、「〇〇を持ってきてください」と言われた場合には早めに用意してください。
自賠責保険の請求に関して、該当するものをもらうためにはどうするか、しっかり調べてふさわしいアドバイスを行うのが行政書士です。
保険会社はそこまで教えてくれるとは限らず「本当はこれも請求できたかもしれないのに…」という残念なケースも世の中にはたくさんあり、後になって「もらえたはずのものをちょうだい!」と騒いでも、もらえるわけがありません。
弁護士に依頼するメリット
弁護士と行政書士の大きな違いですが「示談の交渉」や「裁判」に関しては、当然に弁護士の業務になり、行政書士が行うことはできないのです。
保険会社の悪口を書くわけではありませんが、保険会社はあくまで支払う側ですから、最高額を提示してくるとは限りません。
むしろ、本来支払う金額より低い額を提示してくることも多く、示談金の増額を望む場合には保険会社と交渉をしなくてはならないので、多くの示談交渉には弁護士の力が必要です。
件数としては少ないのかもしれませんが、私のように交通事故が裁判まで発展するケースもあるので、その場合にも弁護士の出番になりました。
裁判時に、裁判官等に自分の主張を伝えてできるだけわかってもらうためには、裁判にかかる手続きをすべて自分で行うよりも、その道のプロである弁護士にお任せして正解だったと思っています。
加えて、時には事故の加害者が任意保険に加入していない場合、被害者は直接加害者と示談をしなければいけなくなりますので、やはり弁護士に依頼するメリットは大きいと言えるでしょう。
保険をかける時、弁護士特約をつけておいたのですが、お金の面での心配も少なく弁護士を依頼することができました。
弁護士特約は高いという印象がありますが、交通事故のせいで収入が落ち込んでしまった時にお金の心配をしないで済むのは精神的にも楽です。
車に乗る機会が多い方は、弁護士特約についてもぜひ検討してください。
これだけはやめましょう
「行政書士の方が安そうだから行政書士に頼みたい」
出来るだけ安く済ませたいと思うのは当然の気持ちですが、そもそも行政書士と弁護士では守備範囲がが異なっているので、これは無理な相談というものです。
相談の結果として「ここまでは行政書士で対応できます」という可能性もありますが、いくらお客様の依頼であっても弁護士の仕事を受けることは法律違反になるので、弁護士の仕事を行政書士に依頼するようなことは絶対にやめてください。
別の点として、行政書士・弁護士に共通することですが、自分に都合の悪いことを言わなかったり、聞かれたことに対して正直に答えない場合には、信頼関係を築くことが出来ないので業務を続けることが出来なくなります。
行政書士も弁護士も、お客様の秘密を守る義務がありますので、話しにくいことがあっても安心して相談してください。